まずは専門医の前段階である、認定医を取得する必要があります。認定医試験は学会に所属して3年間、指定された研修の受講など条件をクリアすると受けることができます。試験では、中等度の歯周病患者さんを治療した症例を一つ提示します。このほか40問の試験を受け、合格ラインに達すれば取得できます。専門医の試験は認定医を取得後、2年間が経過してからでないと受けることができません。学科試験ではなく、それまで取り組んできた治療の実績を症例として10ケース、提示することが義務づけられています。この10ケースは軽い歯周病ではなく、歯周外科治療や歯周再生医療など重症の歯周病患者さんのケースを半分以上、含まなくてはいけません。これはなかなかきびしい条件です。例えば重症の歯周病で歯槽骨がなくなってしまった場合に行われる歯周再生治療は歯槽骨をもとに戻すために行われますが、検査と治療が繰り返される形で数カ月から1年以上かかることもまれではありません。その間も定期的なブラッシングチェックや歯石除去など、歯周病を悪化させない治療を続ける必要があり、きちんとやっても患者さんのからだの状態などにより、思うような成果を得られないこともあります。一般歯科では重症の歯周病患者さんはそれほど多くやってきません。短期間で10ケース集めようと思ったら、指導医のいる研修施設で働くのが近道です。さらに試験では10ケースから一つを選び、審査員の前で患者さんをどのように治したかをプレゼンテーションしなければなりません。審査員は熟練した歯周病の専門医(指導医も持っているのが一般的)ばかりです。ちょっとでも不確かな部分や疑問点があれば、きびしい質問が飛んできます。このような試験をすれば、その歯科医師のスキルがたちどころにわかり、専門医の資格を与えられるかどうかの判断は明確につくのです。
専門医はこのように、一定レベルの技術を担保する資格といえます。